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第523回川崎医学会講演会
:: 日 時 | 令和5年9月8日(金) 18:00~19:00 |
:: 場 所 | 総合医療センター5階 カンファレンス室1 |
:: 座 長 | 瀧川 奈義夫 |
「がんの進化とウイルス防御機構」
磯崎 英子 (Hideko Isozaki) 先生
MGH Cancer Center / Harvard Medical School Boston
全ての生物種は共通の先祖から、長い年月を経て、自然選択を通して進化してきたと考えられています(Charles Darwin, 種の起源, 1859)。ウイルスによる感染症は、人類にとって大きな脅威の一つであり、ヒトはこれまでに幾度となく自然選択を迫られてきました。このため、他の生物種と比較して、ヒトにはより複雑なウイルス防御機構が備わっています。一方、がんにおける最大の脅威は治療です。がん細胞も他の生物と同様に、治療薬という脅威に曝されることで進化することが報告されています(Hata et al. "Tumor cells can follow distinct evolutionary paths to become resistant to epidermal growth factor receptor inhibition" Nature Medicine 2016)。今回は、がん細胞が薬物治療中に、どのように進化するのか、また我々はそれにどう対応することができるのかをお話ししたいと思います(Isozaki et al. "Therapy-induced APOBEC3A drives evolution of persistent cancer cells", Nature 2023)。