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過去の講演会
第159回 川崎医学会講演会
::日 時 | 平成20年12月12日(金) 16:00・17:00 |
::場 所 | 図書館小講堂 |
「結合組織の発生における亜鉛トランスポーター
SLC39A13/ZIP13の役割;
SLC39A13/ZIP13はBMP/TGF-βシグナルの新しい制御分子である。」
理化学研究所横浜研究所 免疫アレルギー科学総合研究センター
サイトカイン制御研究グループ上級研究員
深田 俊幸 先生
亜鉛は骨・歯・皮膚等の結合組織に存在する必須微量元素であるが、その生物学的役割は明らかにされていない。我々は、亜鉛トランスポーターの一つSlc39a13/Zip13のノックアウトマウスを作製したところ、成長遅延をはじめ、骨・歯・眼・皮膚・頭蓋顔面等の硬組織や結合組織において劣性遺伝的な進行性の異常を発症することを見出した。さらに、Slc39a13/Zip13タンパク質は骨芽細胞、増殖軟骨細胞、歯髄由来細胞および繊維芽細胞等の間葉系由来の細胞のゴルジ体に局在し、BMP/TGF-βのシグナル伝達経路におけるSmadタンパク質の核移行を制御していることを発見した。一方で我々はSlc39a13-KOマウスと類似した症状(骨密度低下、脊柱彎曲、部分無歯症、皮膚の脆弱化、青色強膜、眼瞼裂斜下等)を示す新しいタイプのエーラスダンロス症候群の患者を見出し、遺伝子検査によってSLC39A13/ZIP13のloss of function変異を発見した。本セミナーでは、結合組織の発生と疾患の解明の為の新たなモデル動物を紹介するとともに、結合組織の発生と維持における亜鉛とそのトランスポーターの役割について議論する。