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過去の講演会
川崎医学会賞受賞記念講演会
::日 時 | 平成21年7月29日(水)総会終了後 |
::場 所 | 図書館小講堂 |
::座 長 | 大槻 剛巳 |
●機関誌論文賞受賞
「胃癌細胞に対するtranilastの抗腫瘍効果とその機序」
臨床腫瘍学 山村 真弘 先生
胃癌の腹膜播種は化学療法抵抗性で、以前より腹腔内化学療法が行われているが予後の改善も十分でない。この研究では、抗アレルギー剤として臨床応用されているtranilastが、胃癌細胞に対して抗腫瘍効果を認め、また腹膜播種モデルにおいても腫瘍増殖抑制効果を認めた。これらの抗腫瘍効果と作用機序について報告する。
●機関誌論文賞受賞
「ラット慢性脳低灌流モデルにおける筋線維伝導速度と筋酵素組織学的検討」
三木リハビリテーション病院 田中 芳幸 先生
ラット慢性脳低灌流モデルを作製し、脳血流が低下したラットのヒラメ筋における筋線維伝導速度の測定および筋酵素組織学的検討を行った。脳血流低下によりタイプ2B線維以外で筋線維の萎縮を認め、筋線維伝導速度は遅延し、筋線維面積と相関した。脳血流改善により筋線維の萎縮は改善し、筋線維伝導速度も改善したが、筋線維タイプの変換は健常ラットよりも進行し、脳血流低下により加齢に類似した筋線維変化が生じた可能性が考えられる。
●研究奨励賞受賞
「川崎医大における前立腺生検の現状と試み
- 系統的多箇所生検の有用性と最適な到達法の探究について -」
泌尿器科学 原 綾英 先生
系統的前立腺生検には、経会陰的到達法 (transperineal 法:以下 TP 法) と経直腸的到達法 (transrectal 法:以下 TR 法) があるが、当施設では2003年4月までは TP 法のみを施行していた。2003年5月からは TR 法も導入しTP 法とTR 法との prospective randomized study も施行した。当施設における前立腺生検の現状について、その成績を提示し報告する。
●平成19年度研究奨励賞
「悪性黒色腫に対するホウ素熱中性子捕捉療法の抗腫瘍効果増強をめざして
-メラニン合成能と放射線感受性、ホウ素化合物の取り込みの観点から-」
耳鼻咽喉科学 森田 倫正 先生
悪性黒色腫に対して有効である高LET放射線のひとつ、ホウ素熱中性子捕捉療法(BNCT)においては、細胞内に取り込まれたホウ素濃度が治療効果の鍵を握る。本研究においては、メラニン前駆物質Tyrosineに類似した構造を持つホウ素化合物p-Bolonophenylalanine (BPA)の黒色腫への取り込みを増加させるべく、メラニン合成の律速酵素であるTyrosinaseの遺伝子を黒色腫に導入し、BNCTの治療効果に及ぼす基礎的検討を行なった。