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第242回 川崎医学会講演会
:: 日 時 | 平成24年10月24日(水) 17:00・18:00 |
:: 場 所 | 臨床教育研修センター 演習室6 |
:: 座 長 | 柏原 直樹 |
「リン代謝から見た慢性腎臓病と老化」
Professor, Department of Pathology,
University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas
黒尾 誠先生
近年、リンの過剰摂取と慢性腎臓病や循環器疾患などとの関連性を示唆する研究が、相次いで報告されている。リンは食品添加物として、加工食品に広く用いられているため、過剰摂取になりがちである。最近、これまで理解の進んでいなかったリン代謝研究の理解に、科学的な分子基盤が加わった。1997年、黒尾誠先生の発見によりKlothoと名づけられた老化抑制遺伝子が見つかった。この遺伝子の欠損マウスは早老症候群が起こり、逆に過剰に発現すると寿命が延びる。このKlotho遺伝子のつくるKlotho蛋白は、FGF23(Fibroblast growing factor 23)の受容体となっている。FGF23は、骨細胞から分泌されて、尿中へのリンの排泄を促す因子である。FGF23が働くためには、Klotho蛋白の存在が必要であり、FGF23が働かないと、リンの蓄積が起こる。FGF23の欠損マウスでもKlotho遺欠損マウス同様の早老症候群が生じる。つまり、リン代謝系の中核である FGF23/Klotho系の発見により、FGF23欠損や Klotho欠損マウスに見られる老化促進兆候がミネラル代謝異常により生じることが明らかにされた。Klotho遺伝子は、体の中では、主に腎臓で発現している。このため、慢性腎臓病などでは、早期よりFGF23/Klotho系に異常が生じ、このことは慢性腎臓病状態では、生体がリン過剰状態になっていることを示唆している。腎臓病と老化、リンの貯留、血管の石灰化、骨代謝といった問題が、KlothoとFGF23という因子の解明で、新たな展開が始まろうとしている。