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第302回 川崎医学会講演会
:: 日 時 | 平成26年10月15日(水) 教授会・管理者会終了後 |
:: 場 所 | 別館6階大会議室 |
:: 座 長 | 福永 仁夫 |
「消化器癌の臨床と研究」
消化器外科
教授 中村 雅史 先生
胎生期に発現し器官形成を司る形態形成シグナル再活性化と癌進展の関係を中心に研究をしてきた。院生時代に行った細胞骨格の研究より発展して(Nakamura M., et al., J Cell Biol 143:1041, 1998) (Ohba T., Nakamura M., et al., Science 284:1356, 1999) Wntシグナルが大腸癌の浸潤・転移を担う細胞骨格の動きを制御していること(Nakamura M, et al., Curr Biol 11:1062, 2001))、乳癌組織でサイクリンD発現が亢進し細胞増殖を活性化すること(Ryo A, Nakamura M, et al., Nat Cell Biol 3:793, 2001)などを明らかにした。その後、形態形成シグナルの1つであるHedgehog(Hh)シグナルが癌組織で再活性化する原因であるリガンド高発現の機序解明を中心課題として研究を続け、胃・大腸・膵・乳腺における機構を明らかにしてきた(Kubo M., Nakamura M.,et al., Cancer Res 64:6071, 2004) (Nakashima H, Nakamura M et al., Cancer Res 2006;66:7041) (Kameda C, Nakamura M et al., Br J Cancer 102:738, 2010)。これらに関連してHhシグナルが癌幹細胞分画の維持に重要な因子であること(Tanaka H, Nakamura M, et al., Anticancer Res 29:2147, 2009.)、WntシグナルとHhが拮抗的に細胞増殖を左右していること(Akiyoshi T, Nakamura M et al., Gut ;55:991, 2006.)、Notch阻害剤により癌増殖が抑制できること(Akiyoshi T, Nakamura M et al., Gastroenterology 134:131, 2008.)などを明らかにしてきた。このような成果を背景に、Hhシグナル因子であるPtch1が分子標的になりうることを証明した(Nakamura M, et al., J Gastroenterol 47: 452, 2012; 特許登録番号 2013-539059)。今後は、これまでに得られたシーズの臨床応用に向けた展開を行い難治癌の克服を目指すとともに、新たなシーズの探索も行う。 また、外科臨床では低侵襲外科の開発を行ってきた。腹腔鏡に代表される低侵襲手術はしばしば“ハイリスク・ハイリターン”と形容される。腹腔鏡下膵切除術においては、膵液瘻が特有の最も高頻度かつ危険度が高い合併症である。我々が発表した膵液瘻の簡便な防止法は(Nakamura M, et al., Surg Endosc 25:867, 2011)本邦で標準的な膵切離法となっている。また、しばしば致死的となる脾摘後症候群の防止のために、腹腔鏡下では困難とされていた脾および脾動静脈温存術式を、詳細な膵・脾周囲の解剖の解明とともに確立してきた(Nakamura M, et al., Surgery 150: 326-31, 2011)。膵臓外科の標準手術である開腹膵頭十二指腸切除においても、解剖学的な考察により安全で継承が容易である切除術式を確立し、後継への伝承に努めている(Nakamura M, et al., J Gastroenterol 48: 989, 2013)。今後は、初診時切除不能などの高度進行癌の症例を治癒に導くような治療体系の開発を目標にしている。