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第197回 川崎医学会講演会
:: 日 時 | 平成23年1月31日(月) 17:00・18:30 |
:: 場 所 | 別館6階大会議室 |
:: 座 長 | 加来 浩平 |
「GLP-1によるマウスおよびヒト膵島におけるグルカゴン分泌調節」
オックスフォード大学 教授 Patrik Rorsman
マウスとヒトの膵島α細胞におけるGLP-1レセプター発現は殆ど認められない。GLP-1作用は、周囲のβ細胞、δ細胞から分泌される因子を介するパラクライン効果とも言われているが、α細胞に固有のもので、GLP-1レセプター阻害薬exendin9-39によりブロックされ、プロテインキナーゼAの活性化を介する効果と思われる。アデニル酸シクラーゼ刺激薬Forskolinは、細胞内cAMPの濃度上昇を検出しえない低濃度(1 nM)で、グルカゴンの分泌を抑制することから、GLP-1も同様に僅かなGLP-1レセプターを介するごく少量のcAMP上昇によりグルカゴン分泌抑制に働く可能性がある。その下流にある機構として、膜電位非依存性機構によるN型Caチャネルの選択的抑制を考えている。ヒト膵島で、GLP-1はIC50が100 fM以下の低濃度でグルカゴン分泌を抑制する。GLP-1作用のピークは、KATPチャネル閉鎖を介した脱分極に際してみられ、活動電位は最大で10mV低下する。ヒトα細胞の開口分泌は、急勾配の膜電位に依存することから、この効果がグルカゴンを最大で70%抑制しているものと予想される。GLP-1作用は、ヒトとマウスでは明らかに異なり、ヒトの膵島を用いた検証の重要性を示すものである。GLP-1レセプターノックアウトマウスにおけるGLP-1の効果についての最新データも紹介する。
「中毒ばかりではない!膵B細胞内で作る硫化水素の役割は?」
大分大学医学部薬理学 教授 仁木 一郎
古くから硫化水素は「死に至る中毒を起こす毒ガス」という、ありがたくないレッテルを貼られてきた。この認識は、環境汚染や自殺の報道でこのガスが誌面を賑わす今も変わらない。しかし、細胞自身も硫化水素を作っている。なぜ?・・・細胞の自殺のためではなさそうである。
硫化水素はインスリン分泌を抑制する。ところが意外なことに、硫化水素産生酵素は、インスリン分泌を刺激するグルコースにより誘導される。分泌刺激物質が分泌を抑制する硫化水素を作る・・・この謎を解くべく取り組んだ結果、私たちが到達した「硫化水素の内因性ブレーキ説」を紹介したい。