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第379回川崎医学会講演会
:: 日 時 | 平成29年1月17日(火) 17:30・18:30 |
:: 場 所 | 図書館小講堂 |
:: 座 長 | 日野 啓輔 |
「ミトコンドリアのストレス応答からみた
オルガネラ接触場の形成と細胞内鉄動態恒常性の関係」
山形大学 医学部 メディカルサイエンス推進研究所 田中敦研究室
准教授 田中 敦 先生
ミトコンドリアは真核生物におけるエネルギー生産の場として重要な細胞小器官である。近年の研究から、ミトコンドリアは他の細胞小器官と密接に情報を交換しながら、その機能や生合成、ダイナミクスを変化させていることが明らかとなりつつある。私たちはミトコンドリアがいかにして他の細胞小器官に情報を伝達あるいは受容するのかについて、特に疾患との関わりに注目して研究を進めている。
生体内におけるミトコンドリアの機能維持については、機能不良に陥ったミトコンドリアを細胞内から駆除するオートファジー・リソソームの必要性が明らかになっており、私たちは組織特異的オートファジー欠損マウスの解析から、組織内におけるミトコンドリアの機能異常の蓄積と、それに伴うミトコンドリア貯蔵鉄の異常を見出した。このことは、これまでに不明であった機能不良ミトコンドリア蓄積のメカニズムのひとつであると考えられ、特にヘム生合成など鉄代謝の重要な場であるミトコンドリアは、一方で機能崩壊を示す場合には、酸化ストレスなどを増悪してしまう鉄漏洩の場としても捉えられることを示唆している。
さらに、ヒト神経芽腫由来細胞株SH-SY5Y を用いた解析から、ミトコンドリアは細胞内鉄動態(代謝・輸送・貯蔵など)の変化に応答して、その構造や機能を調節していることも明らかにした。近年その生理的意義が明らかになりつつある、ミトコンドリア構造に特異的な融合や分裂とは独立にミトコンドリアが形成する、小胞構造(ミトコンドリア由来小胞)が、細胞内鉄恒常性の維持に関わっているという新たな知見を紹介し、その生理的な意義について議論したい。