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第385回川崎医学会講演会
:: 日 時 | 平成29年3月3日(金) 16:15・17:15 |
:: 場 所 | 図書館小講堂 |
:: 座 長 | 日野 啓輔 |
「肝線維化の分子機構と新たな治療戦略」
大阪市立大学大学院医学系研究科 肝胆膵病態内科学
教授 河田 則文 先生
近年、Direct Acting Antivirals (DAA)抗ウイルス薬の服用によりC型肝炎ウイルスの消失率は9割以上となっているが、すでに肝硬変に達した患者の根治は依然として難しい。その理由は増生した活性化星細胞(HSC)および筋線維芽細胞(MFB)による肝萎縮と組織破綻が原因で肝臓の機能自体が低下しているためと考えられる。肝線維化の進展には、point of no returnがあり、それ以降では原因が排除されても肝機能が悪化し肝発がんに繋がるケースが少なくない。そのためPoint of no returnを見極める早期診断法の確立と活性化HSC/MFBを標的とした新規治療薬の開発が望まれる。
日本初の治療薬としてVitamin A-リポソームsiRNA HSP47 (Heat shock protein 47)を肝硬変患者に投与することでHSCに選択的に運搬し細胞のアポトーシスを誘導して増生した筋線維芽細胞を除去する手法が開発され、第2相臨床治験でも良好な結果が得られているとされ期待される。我々は2001年にHSC特異的に発現するグロビン、サイトグロビン(Cygb)、を発見した。本蛋白質はヘモグロビンやミオグロビンと同様、酸素や一酸化窒素結合能を有する。このガス結合能に加えてCygbは肝臓に対する保護作用を有する事をノックアウトマウスを用いた研究から明らかにしてきた。逆にハイスループットスクリーニングを行なった結果、Cygbの誘導物質がHSCを脱活性化させ得ることを見出し、脱線維化治療剤開発へと展開しているところである。現在、Cygbの転写調節機構の解明と併せて、Cygbが肝線維化治療薬として有効であることを確認するためマウス線維症モデルを用いてIn vivo POCの確立を目指している。HBVがコントロールされ、HCVが排除されるようになった今こそ、非ウイルス性肝疾患に由来するものも含めて、肝線維化のより詳細なメカニズム解明とそれに基づく治療法開発が望まれる。